介護研究 抄録の作り方

投稿者: | 2018年7月8日

さて,マナブさんに誘われて,事例研究を発表することになったリサさん(「介護福祉学研究 事例研究」)。
事例研究のスライド作りも終わりました(「介護福祉学研究 スライドを作る」)。

今回は,抄録づくりに挑戦です。

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抄録とは

「リサさん,おつかれ。」
「おつかれさまでーす。」

仕事が終わったリサさんは,マナブさんに声をかけられました。

「事例研究の件なんだけどさ,抄録も作っておいてもらいたいんだ。」
「ショウロク?」
「うん,発表の内容を簡単にまとめてもらいたいんだけど。」
「はあ。で,ショウロクってなんですか?私,発表は初めてだからわからないんですけど。」
「そっか。リサさんは,研究何回もやってるから,忘れてたよ。じゃあ,抄録について説明するね。」

マナブさんとリサさんは職員控室に移動し,パソコンを立ち上げました。

「抄録っていうのは,研究の発表内容を簡単に抜き書きしたものなんだ。」
「うん。」
「学会で,発表を聴きに行くときに,どの発表を聴けばいいかわからないじゃない。抄録は,発表前に事前に配布されて,『こういう発表をしますよ~』っていうことを事前に参加者に伝える役割がある。」
「なるほど。つまり事前に参加者に知らせて,それで発表を聴いてもらえるようにする,宣伝みたいなことだね。」
「そうだね。そして,抄録のもう一つ大事な役割は,発表後も発表内容を残すことができること。発表は,その場にいないと聴くことができないけど,抄録が残っておけば,どんな内容を発表したのかはわかるよね。」
「なるほどね。つまり,発表内容を残しておく意味もあるのか。」
「そういうことだね。」

抄録の書き方

「抄録はね,大体,『背景』『目的』『方法』『結果』『考察』『結論』という内容なんだ。リサさんは,もうスライドを作っているから簡単だよ。」
「でも,プロットとはちょっと内容が違うようだけど。」
「うん,順番に説明するね。その前に,注意事項がいくつかある。」

「まず,『です・ます』調じゃなくて,『だ・である』調で書くこと。
そして,基本的には過去形で書く。」
「『で・ある』って,『~~である。』っていう文章だよね。私書いたことないな。」
「まあ,挑戦してみてよ。そして,もう1点。『考察』以外は,事実のみを書く。」
「事実のみ?」
「うん,研究っていうのは事実から理論を生み出すものだからね。『考察』は,方法や結果から導かれた理論だから,発表者の考えが入る部分もあるけど,それ以外の部分は,事実が基本になる。」
「な,なるほど。」

「学会によっては,字数制限があるからね。それぞれの内容をできるだけ簡潔に,必要最低限のことだけ書いていけばいいと思うよ。」

背景・目的

「『背景』は,この研究をはじめたきっかけを書くんだ。学会によっては,『はじめに』だったり,『緒論』だったりする。ちなみに,『はじめに』で始まったら,結論は『おわりに』になるよ。」
「へえ,そんな決まりがあるんだ。っていうことは,ここは,プロットの『はじめに』の内容を書けばいいんだね。」
「うん,そういうこと。」

「『目的』は,今回の研究・介入の目的を簡単に書けばいいよ。学会によっては,これは『背景』と一緒になっていて,『背景』の一番後ろに簡単に書くこともある。」
「うん,わかった。」

方法

「『方法』は,研究の要になるところだから,しっかり書かないとね。」
「うん。このプロットだとどの部分が,『方法』になるの?」
「このプロットだと,『施設の紹介』『Aさんの紹介』『Aさんの身体状況』『Aさんの入浴拒否』『介入方法』が含まれる。」
「うわあ,結構分量が多くなるね。」
「うん。でも,さっき言ったように,必要最低限のことを書いていく。この中では,『Aさんの身体状況』や『介入方法』なんかは,必須だよね。」
「うん,そうだね。」

「あと,もう一つ。参加者への説明と同意もちゃんと書かないといけない。」
「あ,それもここに書くんだ。」
「これが書いていないと,学会での発表も認められないことがあるくらいなんだよ。これは,絶対に書かれていないといけない。ちゃんと承諾が得られていないと,学会で発表しちゃいけないからね。」
「なるほど。」

結果

「『結果』はね,素直に結果を書けばいいんだ。」
プロットだと,『介入の結果』の部分でいいのかな?」
「うん,そうだね。統計的な分析をやっていたら,それについてもここに書く。」
「あ,じゃあそれはマナブさんよろしく。でも,これも分量が多くなるね。」
「そうだね。」

考察

「考察は,プロットだと,『介入からわかったこと』でいいのかな?」
「そう,その通り。」
「ここは,『結果』にもとづいて,自分の思ったことも書いていいんだよね。」
「そうだね,結果から言えることを書いていけばいいよ。」
「うん。わかった。」

結論

「結論はね。」
「うん,わかるよ。プロットの『まとめ』でいいんだよね。」
「そう。」

タイトル

「抄録は,これで終わり?」
「ううん,あと重要なのは,発表のタイトル。」
「え,タイトル?タイトルなんて,最初に考えるもんじゃないの?」
「うん,タイトルは,発表全体をわかりやすく表現するものでしょ?」
「うん。」
「だから,発表内容が決まらないとタイトルはつけられないんだ。だから,僕の場合は,タイトルは一番最後に決めるよ。」
「なるほど。別に抄録の順番通りに書く必要はないもんね。」
「そうなんだ。もっとだから,『方法』『結果』『考察』と書いて,最後に『はじめに』を書いてもいい。」
「そっかそっか。『考察』まで書いてしまえば話の軸が決まるから,『はじめに』も書きやすいかも。」

「あとは,名前とか所属とかだね。」
「うん,その辺はわかるよ。」

まとめ

マナブさんの指導の甲斐あって,リサさんは,抄録も作ることができました。

抄録のテンプレートは,こちらです。

事例の発表例については,今後,介護自慢大会CaRPの活動で上がってくると思うので,参考資料として挙げていこうと思います。

研究方法については,「自分たちの介護を研究したい!研究方法のまとめ」でまとめていますので,参考になさってください。


できれるだけ多くの方に読んでいただきたいと思っております。
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