デイサービスに協力していただき,「お仕事ポイント」の研究を行いました。(3)

投稿者: | 2021年3月3日

デイサービスに協力していただき,「お仕事ポイント」の研究を行いました。(2)の続きです。

目次

できる環境づくり

それぞれの仕事は,デイサービスの職員によって,利用者の状態を考慮して作成された。また,様々な工夫を凝らすことで,利用者がこれらの仕事を「できる環境」が作られた。

タオル干し

たとえば,「タオル干し」では,下のように立位可能な利用者は上の段,車いすの利用者は下の段に干すなど,それぞれの状態に合わせて仕事を促した。

また,車いす等を利用しており,洗濯かごから直接タオルを取ることが難しい利用者は,下のように洗濯かごを倒して,自分でタオルが干せる環境を用意した。

ホワイトボード書き

「ホワイトボード書き」では,その日の日付,レクリエーションの内容,昼食の献立,おやつ等をホワイトボードに記入してもらった。
しかし,垂直のホワイトボードに直接書くことは,案外難しいものだ。

そこで,職員は100円均一ショップでマグネットシートを購入し,それぞれの机で書けるようにした。その際,誰が書いたのかわかるように名前も下の方に書いてもらい,デイサービスの「はじまりのあいさつ」,「おわりのあいさつ」で,誰が書いてくれたのか他の利用者にも紹介し,皆の前で感謝の言葉を述べた。

実際に使われていたホワイトボード
テーブルで書く利用者

メモ用紙づくり

裏紙を利用した「メモ用紙づくり」では,ハサミやカッターを使うのは危険なため,定規を使用してA4用紙を4分割してもらった。
当初,紙を4分割してもらうまでと考えていたが,利用者の様子を観察していた職員は,「もしかしたら,穴あけパンチを使い穴をあけることができるかもしれない」と考え,やってみてもらったところ問題なくできた。
さらに,紐を通すこともできそうだったので,やってもらい,職員がサポートしなくても道具を準備しておけば,利用者がメモ用紙を作成することができた。

おやつの片づけ

「おやつの片付け」は,食器等を歩いて運んで下膳することが難しい利用者もいた。そのため,テーブル中央にお盆を置き,そこに食器等を置けば良いという形にし,座ったままでもできる仕事とした。実際,職員はお盆を持って下膳すれば済むので,職員の手助けになる。

テーブル拭き

本プログラムの「お仕事」は,すべて職員と一緒に行ってもポイントがもらえ,無理せずにできる範囲でやってもらう内容である。

たとえば,下の写真は利用者が「テーブル拭き」をしているが,車いすで自操が難しい要介護4の利用者のため,職員が車いすを操作し,本人は目の前のテーブルを拭くことで「お仕事」として成立している。

かかった費用

さて,これらの工夫を行うことでいろんな「できる環境づくり」が行われたわけだが,気になるのはお値段。
だいたいトータルで2000円前後で用意することができた。

買ったものといえば,シール,カード(印刷はA-ONEなどを使用し,PCで印刷),マグネットなど。POPなども自作なので,それほど経費はかからなかった。

デイサービスに協力していただき,「お仕事ポイント」の研究を行いました。(4)に続きます。

本記事の内容は,栗延孟(2020)「要介護高齢者が自身の役割を意識できるプログラムの開発と効果の検証-デイサービスにおけるお仕事ポイントプログラムの取り組み―」.日本文理大学紀要48(1),55-63.に加筆修正を加えたものです。

こちらの研究にご協力していただける施設を探しています。
詳しくは以下をご覧ください。
https://kurumiyasan.com/blog/2021/07/02/1024/

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