デイサービスに協力していただき,「お仕事ポイント」の研究を行いました。(2)

投稿者: | 2021年3月2日

デイサービスに協力していただき,「お仕事ポイント」の研究を行いました。(1)の続きです。

協力の依頼

介護自慢大会に毎回,施設職員の誰かが発表してくださっているデイサービス併設型の有料老人ホームに,「こんな企画を考えているんだけど。。。」と相談してみた。

企画といっても,当時提示したのは,こんな感じである。

・利用者に「お仕事」をしてもらう。お仕事はもちろん強制ではなく,やりたい人がやってくれればよい。
・ポイントカードを作成し,やってもらった「お仕事」に対して,ポイントをシールをカードに貼っていく。(必ず,感謝の言葉を述べながら)
・一定数ポイントがたまったら,なにかもらえること(施設長からの感謝状を提案)

ポイントカードの作成というのは,以前行った研究で,高齢者は特に,いままで自分がやった仕事が視覚的にフィードバックされること,つまり「いままでこれだけのことをやった」というのが目に見えてわかる方が,モチベーションがあがる,ということがわかっていたからだ。

施設長の感謝状,というのは,経験上,高齢者福祉の利用者の方は,居室に賞状等を飾っておられる方も多く,自尊心に働きかけることができると考えたからだ。家族などと,賞状を見ながら会話をしていただけたら嬉しい。

デイサービスの相談員,施設長と相談し,デイサービスの方がやりやすいし,ニーズもあるだろうということで,デイサービスで実施することになった。

そこで,デイサービス相談員と他のデイサービススタッフと相談して,以下のことに留意して準備を進めていった。

①利用者が正のフィードバックを感じやすいこと
②他者との交流を促進すること
③利用者の3分の1以上はできる・できるようになる・軽介助でできるようになること
④ほぼ毎日利用時間に行えること
⑤みなに感謝され,やりがいを感じられること

ポイントカードは,私の方で作成した。

ポイントカード外側
ポイントカード内側
実際にシールが貼られたカード

シールがどれくらい貯まったか,目に見える形でわかりやすくすることで,利用者が正のフィードバックを感じやすいように工夫したつもりである。

また,認知症の方にもカードの意味を理解できるように,「*このポイントカードは,あなたがいままで〇〇苑でしていただいたお仕事を記録するものです。」と記載した。

イメージとしては,職員がこの説明書きを利用者と一緒に読んで,カードを開くとある程度シールが貯まっている。
職員は,「いままでこんなにお仕事をやってくれたんですね。ありがとうございます。では,今日は〇枚シールを貼りますね。」というイメージだ。

企画に向けての準備

実際に,私の方で用意したのは上くらいのことで,あとはデイサービス職員の方にいろいろと工夫していただいた。

「お仕事ポイント」と施設で名づけられ,まずは,どのような仕事をお願いするかを考えていただいた。当然,安全に配慮しながら,施設の中でできる範囲のことに限定される。

それぞれの利用者の方を思い浮かべながら,「〇〇さんは,これができそう。」という内容を吟味していただき,決めていただいた。

以下が,考えられた仕事の内容と,ポイントである。

タオル干し3点
タオルたたみ1点
エプロンたたみ1点
ゴミ箱折り(5個)2点
新聞四つ折り(10枚)2点
テーブル拭き
*自分の前だけでもOK
1点
おやつの片づけ
*各テーブルのお盆にのせる
1点
レクリエーション協力
*点数記入・お手伝いなど
2点
ホワイトボード書き
*日付・レク内容・おやつなど
1点
メモ用紙づくり1点

他にも庭の花の世話とか,施設周辺のごみ拾いなどの案も上がったが,職員配置の問題や安全面の問題から,今回は見送られた。

次に,景品をどうするかということだが,
私が提案した通り50ポイント貯まったら,施設からの感謝状を進呈することになった。また,プログラムを実施していく中でポイントを集めることにはまった方がおられ,100ポイント以上集められた方がおられた。
「50ポイントも100ポイントも同じ景品じゃあね。」ということで,50ポイントごとに箱ティッシュ1箱を進呈し,あとで本プログラムによって進呈されたものとわかるように,本人の名前を書いてあるシールを貼った。
ただし,景品についてはプログラムを実施しながら検討されており,利用者はそれを知らない状態でプログラムに参加している。

そして,具体的にどのように進めていくかということが検討された。
職員のアイディアで,各テーブルに下のようなPOPが作成された。

一番上に,「『お仕事ポイント』を始めます。」と書いてあり,仕事内容とポイントが書いてある。
これを各テーブルに置いた。
これで,各利用者に企画の内容を知ってもらおうというわけだ。

デイサービスなので,利用者はだいたい同じテーブルの同じイスに座る。
そのため,POPの内側に,そのテーブルに座る人のポイントカードとシールを入れておいて,何かやってもらったらすぐにシールが貼れるようにしておいた。

最後に,ルールとして,①お仕事の働きかけはするが,決して強制はしない。②シールを貼るとき等,職員は感謝の声掛けをすることを約束事とした。

協力施設概要

お仕事ポイントの実践に協力してもらったのは,有料老人ホーム併設型のデイサービスであり,利用者はすべて有料老人ホーム入居者である。

デイサービスの定員は30名であり,プログラム実施時点の利用者数は27名であった。
このうち,本人・家族に了解が得られた21名を主な分析対象としている。(了解が得られていない利用者も,本人がやりたいと言えば,やっていただいた。)
21名の介護度は要支援1~要介護5(平均介護度1.93),年齢は70歳~97歳(平均88.0歳),男性4名,女性17名であった。

デイサービスという特性上,利用者によっては利用頻度が異なる。お仕事ポイントに参加した利用者は,週に2回利用から,日曜・祝日を除くすべての曜日で利用する方もいた。

デイサービスに協力していただき,「お仕事ポイント」の研究を行いました。(3)に続きます。

本記事の内容は,栗延孟(2020)「要介護高齢者が自身の役割を意識できるプログラムの開発と効果の検証-デイサービスにおけるお仕事ポイントプログラムの取り組み―」.日本文理大学紀要48(1),55-63.に加筆修正を加えたものです。

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