介護研究 ポスター発表に挑戦する

投稿者: | 2018年6月6日

これまで,介護の研究方法について,いろいろ紹介してきた。(「自分たちの介護を研究したい!研究方法のまとめ」)
ここでは,その研究を発表する方法について書いてみる。
発表には,大きく分けて口頭発表とポスター発表があるが,ここではポスター発表について紹介する。

はじめての研究発表

「ちょっと,リサさん,いいかなあ。」

リサさんはギクッとしました。急に施設長に呼びとめられたのです。

「はい,なんでしょう。。。」
「実はね,今度,県の研究発表会があるんだけどさ。リサさんに,この間の足浴の研究を発表してもらいたいんだよ。」
「発表ですか?」
「そう,発表。せっかく研究したんだから,発表しないともったいないでしょ。うちの宣伝にもなるしさ。お願い。」
「うーん,私,発表とかしたことないんですよね。」
「あ,マナブ君は発表したことがあるから。彼と一緒にやれば,大丈夫だよ。」
「そうですか。わかりました。でも,・・・」
「残業代は出します!」
「はい,頑張ります!」

リサさんは,残業代が出るなら,研究活動をやってもいいと思うようになっていました。
何より,自分たちの実践について,自信を持って取り組むことができるし,研究そのものも楽しんでできていたからです。

リサさんは,早速マナブさんに相談しました。

「ああ,この研究会のことだね。」

事務室のパソコンの前に,リサさんとアキラさんとマナブさんが集まり,インターネットで調べながら,マナブさんが言いました。

「〇月〇日が,発表か。ポスターと口頭が選べるんだなあ。」
「ポスターと口頭?」
「うん,ポスター発表と口頭発表。どっちがいいかな。」

ポスター発表と口頭発表

「ポスター発表と口頭発表って,何が違うんですか?」
「うーん,ポスター発表っていうのは,ポスターを準備して持って行って,学会会場の壁とかに貼るんだ。そしてそれを見に来た人に説明する。口頭発表は,スライドを準備して,大勢の前で研究の内容をプレゼンする。」
「うわあ。口頭発表はハードルが高いなあ。」
「でもね,それぞれ良し悪しがあるんだよ。
ポスター発表は,発表を聴いてもらえる人数は,そんなに多くはないかもしれない。でもその代り,来た人とは,かなり深い話ができる。基本1対1で話すから,相手もたくさん質問しやすいし,発表する側から意見を求めたりすることもできる。研究以外の話とかで盛り上がることもあるんだよ。これからの研究の話とか,聴きに来てくれている人の研究の話とかも聴けるかもしれない。ただ,ポスター発表だと,聴きに来てくれる人数が少ないというデメリットがある。
口頭発表だと,一回の発表で,たくさんの人に聴いてもらえる。多くの人に,自分の研究を知ってもらいたいなら,口頭発表の方がいいかもしれないね。ただ,発表の時間,質疑応答の時間も限られているから,研究についてあまり深い議論はできないかもしれない。もちろん,発表が終わった後に,会場の人とコミュニケーションが取れれば,ポスターの時と同じように議論することもできるんだけどね。」

「うーん,私大勢の前で話すの苦手だし。それに,やっぱり他の人たちの話も聞きたいから,ポスター発表がいいかなあ。」
「うん,じゃあ早速,ポスターを作ってみようか。」

ポスターについて

「学会発表のポスターはね,大体A0のサイズなんだ。」
「A0?」
「普段の会議の資料がA4かA3でしょ?A3はA4の倍の大きさ。A2はA3の,A1はA2の,A0はA1の倍の大きさになる。」
「ちょっとどれくらいのサイズかわからないなあ。」

アキラさんが言います。

「A0は,841mm×1189mm,つまり84.1cm×1m18cmの大きさだね。」
「へえ,1m。結構でかい。」
「このサイズだと,印刷会社に頼まないといけないかもね。うちの施設には,大判プリンターはないから。」
「そうかあ。じゃあ,お金かかっちゃうかな。」

リサさんが心配しているとアキラさんが言いました。
「そこらへんは,施設長に頼んでみようよ。だって,施設長が発表して欲しいって言ってんだから。」
「そうだね。あと,クロス紙っていって,布に印刷できるやつの方がいいかな。普通の紙だと折りたたむとどうしても跡がついちゃうから,筒に入れて運ぶんだ。」
「あ,設計図を入れる筒みたいなやつ?たまに電車でそれを持っている人を見かける。」
「そう。あれにまるめて入れて,跡がつかないようにするんだ。それでもいいけど,クロスだと布だから,折りたたんでも跡がつかないから,カバンに入れていけるんだよ。」
「なるほど。」
「もちろん,それの方が,普通の紙より高いんだけど。業者に頼むと10000円くらいかな。」
「施設長に言えば,なんとかなる。」
「他にもA1を2枚重ねて発表したりする人もいるけど,A0の方が作りやすいし,見栄えもいいから,僕はA0で作りたいな。」
「じゃあ,A0のクロス紙で!施設長,よろしく!」
「あと,業者に発注するから,期間も見ておいた方がいい。大体1週間くらい見ておけば,受け取りはできると思うんだけど,それは業者に確認する必要があるね。」

リサさんたちは,まず業者に価格と期間について確認しました。入稿から4営業日で受け渡しが可能と教えてもらいました。
そして,施設長にも確認。OKをもらいました。

まとめ

ここでは,ポスター発表と口頭発表をメインにして,ポスター発表について,基本的な情報をまとめてみた。
ポスター発表だと,発表できる相手は少ないけど,深い議論ができる。
口頭発表だと,多くの人に発表出来るけど,議論は浅くなってしまうかもしれない。

リサさんたちは,ポスター発表を選択したみたいだけど,少しコストがかかってしまった。
その辺りは,施設長からもOKが出たので,今回はポスター発表でいくことにした。

次回(介護研究 ポスターの作成・発表)では,ポスターの作成方法について紹介する。
ポスターのサンプルも用意したので,是非ご覧ください。

研究方法については,「自分たちの介護を研究したい!研究方法のまとめ」でまとめていますので,参考になさってください。


できれば多くの方に読んでいただきたいと思っております。

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介護研究 ポスター発表に挑戦する」への1件のフィードバック

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