BPSD

投稿者: | 2018年1月15日

目次

概要

「認知症」って聴くと,まず多くの人が思い浮かぶのが,「記憶障害」。
他にも,見当識障害や実行機能障害などがあり,これらは脳の障害により直接的に引き起こされるものであり,「中核症状」という。

それに対して,徘徊や不安,帰宅願望などは,記憶障害や見当識障害が原因となって,起こったりする。
このように,中核症状により二次的に起こる症状を「周辺症状(BPSD)」という。

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BPSDとは

BPSD(周辺症状)は,Behavioral and Psychological Symptom of Dementiaの略であり,直訳すると,「認知症による行動的・心理的症状」となる。

近年では,BPSDという言葉に代わって,Challenging Behavior(チャレンジング行動)という言葉も使われるようになっている。
本人なりに困った,つらい状況を変えようとして,起こる行動として,これらの行動をとらえようとして,この語が使われるようになった。

BPSDの種類

BPSDには,不安・抑うつ,徘徊・帰宅願望,弄便(ろうべん)などがある。

不安・抑うつ

認知症の方には,不安になる要素はたくさんある。

次のような状況を考えてみてもらいたい。
「朝起きると,自分がどこにいるのかわからない。」

「自分がすぐに忘れるようになったことに,
気がついてしまった。」

「周りの人(施設職員など)が,忙しそうに動いているが,
自分は何をしたらよいのかわからない。」

「目の前の人(施設職員など)が,何かよくわからないけど,
自分を抱え上げて,車いすに乗せようとしている。」

「これから何があるのかわからない。」

このように,記憶障害や見当識障害の結果,不安になったり,イライラしたり,暴力的になる,というようなBPSDが起こることがある。

徘徊・帰宅願望

徘徊には,本人なりに理由があることが多い。
「隣の様子が気になった。」

「戸締りをしないといけない。」

「これから,子どもを迎えに行く。」

「友達と約束がある。」

たとえ,そのような約束などがなかったとしても(ないことがほとんどだが),それは,本人なりの「事実」であることに注意して,適切な対応をする必要がある。

また,施設などでは,夕方になると,不穏になり,施設内を歩き回ったり,「帰る」と訴える人も多くいる。
このような帰宅願望は,「夕暮れ症候群」と呼ぶこともある。

多くの場合,その施設に「泊まる」ということを認識しておらず,
「いつまでもいると迷惑になるから,早く帰ろう。」

「家族が待っているので,ご飯を作らなければいけない。」

という言葉が本人から聞かれる。

「今日は,お泊りですよ」と声をかけても,「お金はどうしたらいいんだ。」という別の不安があらわれることもある。

私たちも,知らないところに泊まることには不安がある。
特養に何年も入居している場合であっても,いまのその利用者さんは,「知らない場所」であることも多い。
このような不安に対して,適切にケアすることが,重要になってくる。

弄便(ろうべん)

大便を手で触れたりつかんだりして,自分の身体や,服・ベッド・壁などに擦り付ける行為を弄便(ろうべん)という。

弄便の原因はいくつか考えられるが,便を便として認識できず,でも,なんとかしようと思って,「拭く」という行為をしてしまう。
あるいは,おむつなどに便がある不快感から,その便を手でつかんでしまう,などが考えられる。

おむつに便があることは,それが便とわかっていなくてもとても不快だ。
それが恥ずかしい状態だという認識は残っている人もいる。

そのため,弄便はしていなくても,尿で重くなったおむつをなんとかしようとして,トイレにおむつを流そうとしたりする行為もある。

実際,筆者もおむつを破ってトイレに流した利用者がおり,トイレを詰まらせてしまって,対応に苦労した経験が何度かある。
(おむつは水分を吸収するので,トイレは必ずつまるし,悲惨なことになる)。

便を便として認識していないケースが多いので,悪いことをしている認識がないことがほとんどである。
そのため,家族などが起こっても,なぜ怒られているのかわからないことも多い。

BPSDまとめ

これまで述べたように,BPSDは中核症状を原因として,本人にとっては,何か意味のある行動が症状として表れるケースが多い。
本人の中で意味があることなので,そこに理解を示しながら,接していく必要がある。
もしそうしなければ,さらに不安を助長する結果になりかねない。


できれば多くの方に読んでいただきたいと思っております。

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BPSD」への4件のフィードバック

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